第10回 相続財産の包括承継

1 基本

   「相続」とは、一体何を相続するのか?ということについて解説します。
   簡単に言うと,次の通りです。

原則 - 財産関係(複数ある色んな種類の財産や、権利なども)が全て一体として承継される 

 ですが、死亡した人が勤めていた会社に対する従業員の地位などは、死亡した後相続人に引き継がれることはありません。事の性質上、その人限りのものです。

 それで、

例外 - 帰属上の一身専属権(事の性質上、その人限りで、相続されたりはしないと考えられるもの。上記の例など)は除外される

ということになります。


2 帰属上の一身専属権(相続によって承継されないもの)

  次のようなものがあります。これらは、相続によっても承継されません。

(1) 明文の規定がある者
代理権
使用貸借における借主の地位
雇用契約上の地位  など

(2) 明文の規定はないがほぼ異論のないもの
扶養請求権、(離婚の際の)財産分与請求権、生活保護受給権
 ※ ただし、これらが一定額の給付請求権として具体化していた場合(金額が決まっていて、後は支払うだけという状態になっていた場合)には、相続可能です。

(3) 議論があるもの
占有権に関係する問題、保証債務(とりわけ根保証)生命侵害の不法行為による損害賠償請求権など


3 生命保険金と死亡退職金について

   生命保険金と死亡退職金については、それが相続財産に入るかどうか、という点に議論があります。

(1) 生命保険金請求権
① 受取人の定め方によります。
  (ⅰ) 特定の人が指定されている場合
       →受取人の固有財産(相続したものではなく、受取人自身の財産ということ)であって、相続財産ではありません。
  (ⅱ) 受取人を「相続人」としている場合
         →この場合も、相続人の固有財産であって、相続財産ではありません。
         cf ただし、相続税との関係では、相続とみなして相続税課税されます。
  (ⅲ) 受取人指定していないが、保険約款中に「指定の無いときは、保険金を被保険者の相続人に支払う」との条項がある場合
         →(ⅱ)と同じで、相続人の固有財産であって、相続財産ではありません。

  (ⅳ) 亡くなった人(被相続人)が自分本人を受取人に指定していた場合
         → 相続財産になります。   

② 受取人に指定された者が死亡した場合
保険契約者が生存しておれば、変更できる(保険法43条)
そのまま保険契約者が死亡したら、受取人の「相続人の全員」が受取人(46条)となります。
これも相続財産ではなく、受取人の固有財産です。

   問題は、保険金を、複数の受取人がどのような割合で受け取るか?ですが、それぞれの人数で頭割りする(平等の割合)というのが判例です。


(2) 死亡退職金
受取人の固有財産であり、相続財産に属しない。

5 祖先祭具の承継問題
祖先祭具の承継は、 「相続」ではないとされます。つまり、財産などの「相続」と区別されるということです。
 祖先祭具は、 祭祀の主宰者に承継されることになります。
祭祀の主宰者とは誰かというのは、第1に被相続人の指定、第2に慣習、第3に家裁の審判により決まります。

 文 弁護士 村上英樹(神戸シーサイド法律事務所)  
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by hideki1975da | 2011-10-05 13:40


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