もくじ

★ 相続に関する法律について、できるだけ、平たい言葉で、法律家や法学部生以外の方にも理解しやすいようにまとめたサイトです。

  文章は、弁護士村上英樹(神戸シーサイド法律事務所)が書いています。
  

★ 次の項目から、必要なページ、興味関心のおありのページを選んで読んで下さい。

★ 参考図書は、弘文堂「相続法 第三版」潮見佳男著です。
   解説に用いられる「ケース」も、原則として、同著書に挙げられるケースを参考にしているものがほとんどです。そのまま引用したものもありますし、(理解をし易くするため)同著書を参考により単純なケースとして例示し解説したものもあります。

★ このサイトはあくまで法律の基本知識を書いたものであって、個別の法律相談、事例の解決について、答えを示すものではありません。
  もしも、御自身の相続問題等でお悩みの場合は、このサイトはあくまで参考にするにとどめ、弁護士に相談して下さい。

★ 右下の「検索」もご活用下さい。例えば、「相続の放棄」などのキーワードを入れれば、参考記事が出てきます。

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はじめに  

第1回 相続制度とは①~法定相続と遺言と  

第2回 相続制度とは②~「相続」の基本    

第3回 相続の開始~人の死亡         

第4回 相続人① 総論~胎児、代襲相続   

第5回 相続人② 相続人の種類         

第6回 相続人③ 同時死亡の推定      

第7回 相続資格について①~欠格と廃除   

第8回 相続資格について②~放棄と承認

第9回 相続人の不存在~相続財産管理人、特別縁故者など        

第10回 相続財産の包括承継

第11回 遺産共有

第12回 相続分の確定 ~ 法定相続分

第13回 特別受益

第14回 寄与分

第15回 遺産分割(1)

第16回 遺産分割(2)

第17回 遺言(1)~遺言とは

第18回 遺言(2)~遺言能力、有効・無効、撤回など

第19回 遺言(3)~遺言の執行、遺言執行者

第20回 遺言(4)~自筆証書遺言

第21回 遺言(5)~公正証書遺言など

第22回 遺言(6) ~遺贈

第23回 遺留分(1)~遺留分とは

第24回 遺留分(2)~遺留分権利者、割合など

第25回 遺留分(3)~遺留分の計算

第26回 遺留分(4)~遺留分減殺請求
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# by hideki1975da | 2012-12-31 14:59

第26回 遺留分(4)~遺留分減殺請求

 今回は、法律上は遺留分があるとして、遺留分を持っている人は実際にはどのように権利を行使するのか?ということを解説します。


(1) 遺留分減殺請求権
① 遺言などによって遺留分が侵害されていることがあっても、そのままでは侵害行為(遺贈など)が無効になるわけではありません。

そこで、遺留分を侵害されている人は、遺留分減殺請求権を行使します。

  「減殺(げんさい)」というのは、遺留分を侵害する行為(遺贈や贈与など)について、全部又は一部の効果を無くすということです。

   そうしてはじめて、財産の取り戻しができる、というわけです。
  ↓            
(遺留分減殺請求権を行使すれば、効果として)
遺留分減殺請求権の範囲で、(遺留分を侵害していた)贈与・遺贈が効力を失います。
   そして、個別的遺留分に相当する財産権が、遺留分権利者に帰属していたものして扱われるようになります。
   少し分かりにくい言い方ですが、要するに「遺留分の分だけ財産が取り戻される」ということです。

② 具体例
【参考図書に挙げられているケース】
Aが死亡し,相続人は子X・Yである。
 Aは,死亡する6か月前に甲土地をYに贈与し,所有権移転登記を終ていた。ここにおいて,Xが遺留分減殺の意思表示をし,甲土地につきYに対して,自己への4分の1の共有持分移転登記をするように求めた。


  → この場合、遺留分減殺請求権行使の結果、Xには4分の1の共有持分(=物権)があることになります。


(2) 遺留分減殺請求権者
① 遺留分権利者およびその承継人

   遺留分権利者は、民法1028条により、「兄弟姉妹以外の相続人」であると定められています。

その承継人とは、遺留分権利者の相続人(遺留分権利者も亡くなってしまった場合)・包括受遺者などのことです。

② 遺留分権利者の債権者が遺留分減殺請求権を代位行使できるか?

【少し難しい論点です。関心のない人は飛ばして下さい。】

(判例・通説)
債権者が遺留分減殺請求権の行使をすることを否定する。
∵ 民法は侵害された遺留分を回復するかどうかを遺留分権利者自律的決定に委ねている。


(3) 遺留分減殺の方法
意思表示によります。
 必ずしも、訴えの方法による必要はありません。通常は、内容証明郵便等を送付して行います。

  意思表示により、「物権的効力」と言って、取り戻し財産は減殺請求権者の固有財産になる、という効力が発生します。
 

(4) 減殺の限度
遺留分を保全するのに必要な限度で減殺できることになります。
  具体的には以下の計算によります。

 = 【個別的遺留分額】-(【遺留分減殺請求権者が得た特別受益】+【遺留分減殺請求権者が実際に相続した額】)

(5) 減殺対象となる行為と減殺の順序
① 減殺対象となる行為
遺贈
 +
1030条 一定範囲の贈与

② 減殺の順序1 - 贈与と遺贈
  まず遺贈から。
  それでも足りないときにはじめて贈与。

【参考図書に挙げられているケース】
Aには妻Wと子X・Yがいる。
 Aは,40年前にYが婚姻する際の持参金として500万円を渡し(相続開始時点での評価額は3,000万円),また,公正証書遺言で「甲土地を弟Dに譲る」と記した(相続開始時点での評価額1,000万円)。
Aが死亡し,甲土地を除く遺産総額は2,000万円であった。



 このケースでは、

具体的相続分  W:X:Y=2:1:0(Yは超過特別受益を受けている。
相続財産2000万円に対しては、
W 1334万円    ※1
X  667万円    ※2
Y    0円

個別的遺留分

基礎財産

 2000万円  +  1000万円    +   3000万円

現存財産(金)     現存財産(土地)        贈与

=6000万円



総体的遺留分 は 基礎財産の(1/2)

個別的遺留分の割合及び額は  
   W 割合( 1/4 ) 額( 1500万 )円  ※3
   X 割合( 1/8 ) 額(  750万 )円  ※4 
   Y 割合( 1/8 ) 額(  750万 )円
      
各自は遺留分を害されているか?

 遺留分を害されている人は、WとXです。Yさんは、既に3000万円相当の贈与を受けています。
             

 害されている金額は、

   W   ※1と※3の差   166万円
   X   ※2と※4の差    83万円     


 その結果、WとXが、遺留分減殺請求権を行使できることになります。

まず、Dに対して権利行使をして、財産を取り戻そうとすべきということになります。(上で説明したとおり、遺贈と贈与が両方ある場合は、遺贈から先に遺留分減殺すべきだからです。)
 
 それでもし足りなければYに対して遺留分減殺請求することになります。

 ③ 減殺の順序2-遺贈の減殺
遺贈が数個ある場合
→ 遺言者が遺留分減殺の順序を指定した場合は、それに従います。
      それがない場合は、減殺額を「遺贈の目的の価額」の割合に応じて割り付けます。

【参考図書に挙げられているケース】
Aには,妻Wと子X・Yがいる。
 Aは,「自分の遺産から5,000万円をD宗教法人に寄付し,2,000万円K市に寄付し,残りを相続人らで分配せよ」との公正証書遺言を残し死亡した。Aにはめぼしい残余財産がなかったため,W・X・Yすべの相続人の遺留分が侵害されていることが判明した。


 このケース それぞれの個別的遺留分
W  1/4   1750万円           
X  1/8    875万円
Y  1/8    875万円

 減殺対象となる2つの遺贈の価額割合(5:2)で支払いを求る。
対D          対K
W     1250万円       500万円
 
  X      625万円       250万円

Y      625万円       250万円

④ 減殺の順序3-贈与の減殺
数個の贈与の減殺は、次のような順序で行います。
  相続開始時に近いものから減殺し、順次に遠いものを減殺する(民法1035条)。    同時の贈与については、贈与財産の価額に応じて減殺する。
  
(6) 減殺請求の相手方
減殺対象である処分行為により直接に利益を得た受遺者・受贈者、その包承継人(相続人など)及び悪意の特定承継人を相手に遺留分減殺請求することになります。

文 弁護士 村上英樹(神戸シーサイド法律事務所
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# by hideki1975da | 2012-03-21 19:28

第25回 遺留分(3)~遺留分の計算

 今回は、遺留分の計算についてお話しします。

 「遺留分を算定するときの基礎財産」についてのお話しです。
 この「基礎財産」の金額に、前回お話しした遺留分の割合(たとえば、妻と子2人の場合、子の遺留分は、1/2*1/4=1/8など)をかけて、個人の遺留分の金額が決まります。



(1) 基礎財産とは?
 遺留分率をもとに相続人各自の遺留分を算定するときの基礎となる財産のことで、その全体の価額が問題になります。

(2) 基礎財産の確定
① 基本的算定の公式は次の通りです。(民法1029条1項)

 基礎財産 = 【被相続人が相続開始時点で有していた財産】
+ 【贈与した財産】
-【相続債務】

    ※ 「みなし相続財産」「具体的相続分」の算定との違いは次の通りです。
ⅰ 「寄与分」は考慮されません。
ⅱ 「相続債務」が控除されます。
ⅲ 組み込まれる贈与財産に違いがあるし、対象となる受贈者は共同相続人に限られない              (←少し細かいです。ややこしければ、気にしないで下さい。)

② 基礎財産にあたるかどうか?

 ★ 基礎財産にあたるものが大きいほど、それに遺留分の割合をかけて計算される金額(実際に請求できる遺留分額)も大きくなります。なので、遺留分権利者に有利になります。

(a) 「被相続人が相続開始時点で有していた財産」とは、相続人が承継した積極財産(+の財産。不動産、預金、貸金、現金などなど)のことをいいます。

(b) 条件付権利・存続期間が不確定な権利を何円と評価するかは、家庭裁判所が鑑定した鑑定人の評価に従う(民法1029条2項)。


(c) 遺贈された目的物を基礎財産に含めて計算します。

(d) 生命保険金の処理 
【参考図書にあげられているケース】
Aには妻Wと子X・Yがいる。
Aは10年来,Fと不倫の関係にある。
Aは,P生命保険会社との間で死亡保険金1億円の保険契約に加入し,受取人の欄に「F」と書いた。その後にAが死亡した。

生命保険金を、遺留分を計算するときの基礎財産に含めて計算するかどうかについて、学説は分かれています。
判例は否定しています(最高裁判決平成14年11月5日。1030条による「贈与」もしくは「遺贈」に準じるものとはいえない、としています)。


 (e) 死亡退職金は、基礎財産の計算に入れないのが相当と考えられます。
∵ 死亡退職金は、支給を受ける遺族の生活保障を目的としたものだからです。

③ 贈与財産の加算のしかたについて
民法1030条に定められています。
(a) 原則 相続開始前1年間にされた贈与に限られる、とされています。

(b) 例外その1
遺留分権利者に損害を加えることを知ってされた贈与 も含まれる、とされています。
(この場合、相続開始の1年よりも前になされたものも含まれるということです。)

【参考図書に挙げられているケース】
Aには妻Wと子X・Yがおり,かつ両親P・Qも健在である。
Aは3年前に,Fと不倫の関係におちいり,もし自分に万一のことがあったら家族が将来経済的に困窮することを承知のうえで,自分の預金4,000万円を引き出し,これをFに贈与した。その後にAが死亡した。

 ★ この場合、Aさんは「家族が将来的に経済的に困窮することを承知のうえで」Fに金銭を贈与したので、「遺留分権利者に損害を加えることを知ってされた贈与」にあたり、この贈与額を遺留分を計算する基礎の財産に含めて計算しなければならない、というわけです。
 この贈与額が計算に入ることによって、その分、遺留分権利者(W,X,Y)が請求できる遺留分の金額が大きくなります。
 

(c) 例外その2
Ⅰ 基礎財産確定にあたっての特別受益の持ち戻し

【参考図書にあげられているケース】
Aには,妻Wと子X・Yがいる。
Aは,40年前にXが結婚する際に,持参金として300万円(相続時の価値にして3,200万円)をXに持たせた。
Aが死亡したが,遺産としては800万円ほどしか存在していない。


民法1044条により、遺留分についても903条(特別受益の規定)が準用されています。

→ 共同相続人の1人に対し婚姻・養子縁組のため、または生計の資本としてされた贈与については、相続開始1年前であるかどうかとは関係なく、また、損害を加えることの認識があってもなくても、遺留分算定の基礎財産に含めて計算します。

Ⅱ 持ち戻し免除と遺留分減殺請求権

  持ち戻し免除は、下のケースのように、亡くなった人が誰かに金銭を贈与するなどしたうえで、さらに、「その贈与は、遺産分割の時に、持ち戻して計算しなくて良い」と意思表示することです。

 【参考図書に挙げられているケース】
Aには,妻Wと子X・Y・Zがいる。
Aは,公認会計士試験を受験し続けているZに対して大学の学費・予備校の受講料,下宿代などを5年にわたって援助しているが,Zはいまだ合格通知を得ていない。その金額は既に1,000万円を超えている。
過労で倒れたAは,「Zの将来に期待して援助してやっているのだから,自分に何かのことがあっても,遺産を分配するときには,Zのために支払ってやった費用はけっして考慮してはならぬ」との遺言を残して死亡した。


民法903条3項で、持ち戻し免除の意思表示については、「遺留分に関する規定に違反しない範囲内で」だけ有効とされています。
 逆に言えば、遺留分の規定に反する結果になってはならないと解釈できます。
判例は、持ち戻し免除の意思表示をしても、遺留分を算定する場合の基礎財産に算入すべきである(最判平成10年3月24日)としています。

 (d) 例外その3
不相当な対価でされた有償行為(極端な場合、価値のある土地を「1円」で売った、など)
→ 正当な価額との差額が贈与として基礎財産に算入される、と定められています。
(1039条前段)

④ 遺産債務は控除する。

  借金は遺留分の全体金額から差し引く、ということです。

(3) 基礎財産の評価時期と評価方法
 ① 評価時期は相続開始時です。

② 評価方法
(a) 目的物が相続開始後に増減している場合には、相続開始時(被相続人が死亡したとき)の「原状」で評価する。
例 家屋のリフォームがあった場合
(b) 相続開始時点(被相続人が死亡したとき)を基準に価額評価(貨幣価値も相続開始時に換算)します。


(c) 債権
名目額(額面額)ではなく、債務者の資力や担保の有無を考慮し、取引価額を算定します。
    ですので、全く返してもらえる見込みのない貸金などは「0円」になります。

文 弁護士 村上英樹(神戸シーサイド法律事務所
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# by hideki1975da | 2012-03-09 18:27

第23回 遺留分(1)~遺留分とは

前回まで「遺言」の話をしました。
 「遺言」は、人の最終意思をその人の死後にまで影響させるもので、「遺言」によって、自分の財産は全て長男に譲る、等のことを書けば、法定相続分は複数の子に平等の割合とされていても、遺言は遺言で効力を持つ、というものでした。

 しかし、「遺言」をしたとしても奪うことの出来ない、相続人の権利というのがあります。
 「長男に財産を全部譲る」と親に遺言をされた場合の、次男の権利は?という話です。
 それが今回からお話しする「遺留分」の話です。


1 遺留分制度の基本
(1) 遺留分とは
「被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分(贈与・遺贈)に対して制限が加えられている持分的利益」とされています。

 わかりにくいですが、「贈与」や「遺言」をしても、奪うことの出来ない、相続人の権利がある。それは、相続財産の何割かの持分ということになる、ということです。

これは、被相続人と家族であった者に、一定の生活利益を保障をしようという意図で定められている制度です。

ただし、その割合などが法定相続分とは異なります。



【参考図書に挙げられているケース】
Aが死亡し,相続人は妻Wと子X・Y・Zである。
Aは,「甲土地をD宗教法人に寄付する」との遺言を残していた。甲土地の価値は2億円であり,これを除くAの遺産は300万円ほどである。


例えば、この場合の遺留分は、WXYZそれぞれについて、法定相続分の1/2で、

        Wさんは       1/2*1/2=1/4
XYZ さんは 1/6*1/2=1/12ずつ
となります。(ここでいう「1/2」などの遺留分の割合については次回以降に解説します。)


(2) 遺留分減殺請求
上のケースの場合、Dへの遺贈はW・X・Y・Zの遺留分を侵害していることになります(詳細、計算は次回以降に解説します)。
しかし、遺留分を侵害しても、Dへの遺贈そのものは無効ではありません。有効な法律行為です。

では、Wらの遺留分を守るための方法はなんでしょう?

それは、遺留分減殺請求権を行使する、ということです。
  遺留分減殺請求権を行使するかしないかはWらの自由です。

(3) 遺留分の放棄
① 相続開始前の遺留分の放棄と家庭裁判所の許可

「遺留分の放棄」は出来ますが、これを自由に許すと弊害を生じるおそれがあります。
というのは、被相続人や他の共同相続人らから圧迫されて、立場の弱い相続人(遺留分権利者)が予め遺留分権を放棄するよう強要される恐れがあります。



そこで、相続開始前の遺留分の放棄については、家庭裁判所の許可が必要とされています(民法1043条1項)。

② ただし、相続開始後の遺留分の放棄については、家庭裁判所の許可は要らず、自由にできるとされています。
 相続開始後の場合は、①でいう恐れが小さいということと理解されますが、果たしてそれでよいかどうかについては異論もあります。


③ 遺留分放棄の効果
ある遺留分権利者が遺留分を放棄したからといって、他の共同相続人の遺留分が増加することはありません(民法1043条2項)。


④ 遺留分侵害と減殺が問題となる場面
遺贈、生前贈与、死因贈与、相続分指定などがなされたことによって、相続人の誰かの遺留分が侵害される場合です。

⑤ 遺留分制度の例外として新しい法律ができています。
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(2009施行)です。

これは、一定の要件の下で、相続人全員の合意によって、後継者が先代経営者からの贈与等により取得した株式等について、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができるという制度です。

 中小企業の株について、誰かが先代の後を継いで取得するときに、それについて遺留分を計算するなどのことをすると、経営の承継がスムーズに行かず問題が生じる、という事態を避ける意味です。



★ 以上、今回は、遺留分制度の概要の話です。
  具体的な計算については、次回以降にみていきます。
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# by hideki1975da | 2012-03-05 19:12

第24回 遺留分(2)~遺留分の権利者、割合など

 前回は、遺留分の制度とは?という基本をお話ししました。

 今回は、「遺留分は誰がもっているのか?」と、「遺留分の割合はどうなっているのか?」について解説します。

1 遺留分権利者

(1) 遺留分を有しているのは「兄弟姉妹以外の相続人」です。
 つまり、配偶者、子、直系尊属(父母、祖父母など)です。兄弟姉妹には遺留分はありません。

(2) 相続欠格者・被廃除者・相続放棄者には遺留分権はない。

(3) 胎児も、生きて生まれれば、子としての遺留分権を持つとされています(民法886条)。

(4) 子の代襲相続人(子が既になくなっている場合の孫など)も遺留分権があります。


2 遺留分の割合はどうなっているのか?

(1) 総体的遺留分
(遺留分権利者全体に留保される割合)

  分かりにくいですが、遺産全体の何割が「遺留分」(誰の遺留分かは別として、誰かの遺留分という意味)になるか、という割合は次のように決まっています。

民法1028条

     直系尊属(父母、祖父母など)のみが相続人である場合
                    -被相続人の財産の1/3が遺留分

それ以外の場合(妻や子がいる場合、こちらのほうがケースとして多い)
                    -被相続人の財産の1/2が遺留分

(2) 個別的遺留分

遺留分権利者個々人に留保された相続財産上の持分的割合はつぎのようになります。
  参考図書に載っている例を引用して説明します。 

【参考図書に載っているケース 引用】
Aには妻Wと子X・Y・Zがいる。 F
X・YはAの嫡出子であるが,Zは 遺贈 A─┬─ W
婚外子である(Aによる認知ずみ)。 │
Aは,妻子と離れ,F女(Zの母で ┌┴─┐ 
はない)のもとに走り,「遺産の全部を Z │ │
Fに譲る」との遺言を残して死亡した。 婚外子 X Y
(認知)
  
Q1 この場合の遺留分権利者は?
             WとZ、X、Yです。


Q2 総体的遺留分は?
           妻や子がいるケースなので、相続財産全体の1/2です。


Q3 それぞれの個別的遺留分は?

           Q2の「1/2」をさらに、法定相続分の割合で分けます。

          法定相続分はW1/2 XとYは1/5ずつ、 Zは1/10です。
          (憲法の禁止する差別ではないか?という問題がありますが、民法の規定では、婚外子は嫡出子の1/2の相続分となっています)。

       その結果、

          Wの遺留分 1/2 × 1/2 = 1/4
          XとYの遺留分それぞれ    
            1/2 × 1/5 = 1/10
          Zの遺留分
                1/2 × 1/10= 1/20

       となります(どれも相続財産に対する割合)。   

(3) 寄与分は考慮されないとされています。

(4) 遺留分を、遺言などによって指定することは認められません。

文 弁護士 村上英樹(神戸シーサイド法律事務所
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# by hideki1975da | 2012-03-02 17:56


誰にでもわかる平たい言葉で、相続法を解説するブログです。 神戸シーサイド法律事務所所属 弁護士村上英樹


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